サプライズは素直に受け取って。


俯き始めた彼女の手をそっと握り、店の中へと誘い込む。

「さあ、そろそろ入ろう。
 寒いだろ?
 大丈夫。僕がついているから。」

彼女はふぅと一息吐き、
「…はい。
 お待たせして、すみません。」と言葉を発する。

決意が決まったのか、握られた手を握り返してくれたのを合図に一歩ずつゆっくり前へ進む。

ドアの前に着き、僕は右手でドアを開ける。
カランカラ~ンと来客を知らせるいつものベルの音が鳴り、それと同時に百合さんが僕たちに気付いてニコッと微笑み近付いて来る。

「いらっしゃいませッ!?
 あら!玲央君、待ってたのよ~!
 今日は素敵なガールフレンドとデートって聞いたけど、、、え!?」

誰と伺うか知らせてなかったので、四季ちゃんを見た瞬間に目を見開き、涙を我慢するような表情で居ても立ってもいられなかったのか、突然抱き締めた。
みんなが君を心配していたんだ。
そして、会えるのを待ち望んでいた。
この瞬間だけでもきっと伝わっただろうと感じる。
君たち家族が楽しそうに幸せそうに食事を囲むところを何度も見ていたから。
君たちが心配で何度も会いたいと思っていたことか。