サプライズは素直に受け取って。

しばらくすると、オートロックのドアが開かれエントランスを出てくる四季ちゃんが見えた。
とても切なくなるほどに浮かばない顔で。
その顔に僕がしたのかと思うとどう謝ったら許してくれるのか男のくせに泣きそうになった。

とにかく、ここは僕まで浮かばない顔は良くないので気持ちとは正反対の笑顔で君を迎える。

「…寒いなか…お待たせして…すみません。」
「四季ちゃん!こんばんは!
 来てくれて、ありがとう。
 うん。今日も可愛い。
 では、行こうか。」

本当に優しいひと。
僕には勿体ないくらいのひと。
まだ交際に対しても同意を得ていないが…。
こんな時にでも細やかな気遣いと僕に対して謝らなくて良いのに謝罪の言葉を言えるなんて…なんて素敵な女性なんだと…。
普通だったら、平手打ちの一発では足らないくらいの事をしたのに。

帰宅時間は20時。
その約束も守る。
君が帰りたくないと可愛いわがままを言ってくれたら別だけど。