サプライズは素直に受け取って。


半ば強制的に四季ちゃんの腕を引き、目的地まで連れ去る事に今回は成功しそうだ。
彼女からのリクエストが特になく安堵しながら、途中で"やっぱり帰る!"と言う機会を作らせない様に大急ぎで。
恐らく彼女は放心状態で何処に連れて行かれているのさせ考えられない状況かも知れないが…。
僕はと言うと、こんな状況でさえも四季ちゃんと触れる度に嬉しくて舞い上がりそうな勢いだ。

「四季ちゃん?
 急いで連れて来て、ごめん。
 疲れたよね?
 ゆっくり話せる所って此処ぐらいしか知らなくて…。」

(って、聞いてないな…。)
放心状態の彼女にもう一度、声を掛ける。


「四季ちゃん、大丈夫?
 心ここにあらず状態だけど、目的地に着いた。
 入るよ?」
と言って今度は手を握ってみた。

(うっわあ。ヤバい。柔らかい。手ちっさいな。)

先ほどの駅前で腕を掴んだ時の様に手を振り払われる覚悟だったが、彼女は受け入れてくれた。…はずだ。