私を包む腕は優しいのに
放たれた言葉には
断ることなんて出来なくなるような
甘い毒でも入ってるかのように
私の思考を停止させる。
全て彼の思い通りになってしまうかのような…
いや、なってしまいたいと
思わせる不思議な力がある。
それは他でもない、彼が持つ魅力だ。
「もう、陸のくせに生意気!
私だってヒメちゃんと話したいのに!」
「晴香さんは次の仕事があるでしょ?
とっとと行ってください。」
「なによ、その言い方ー!
あと2時間空いてるし!
だからヒメちゃん誘いたかったんだもん!」
「そんなの知りません。」
相変わらずとても仲良さそうに
私を置いてけぼりにして
会話をする2人。
今をときめく2人に
取り合いしてもらってる私は
一生分の幸せをここで使っているのかもしれない。
「「…何してんの?」」
2人が言い争っている間に
止まった思考を何とか動かし、
スルッと五十嵐陸の腕の中から抜け、
1歩下がったところで
2人に手を合わせ拝むように
見守っていた私に気付き、
息ぴったりで私にそう問いかけた。



