「お疲れ様。」
まだ感動の中にいた私を
現実に連れ戻したのは
心地いい低音ボイスから
放たれた労りの言葉だった。
その声の主が誰かなんて
顔を見なくても分かる。
「あ、お、お疲れ様です!」
顔を上げた先には
未だに見慣れない
綺麗に整った顔に笑みを浮かばせた
五十嵐陸がいる。
「どうだった?俺の演技。
もしこの後暇ならまたあのカフェで
お茶しながら話したいんだけど、どうかな?」
2回目のお誘いを受け、
この体中に溢れた想いの言葉を
どれから話そうか、
なんて返事をしようか迷っていると
「あー!陸ずるい!!
この前ヒメちゃんのこと
持ってっちゃったんだから
今日は私がヒメちゃんとお茶するの!」



