ああ、なんだか、今日は私が眠れなくなってしまった。

彼を起こさない様にそっとベッドを降りて、静かに寝室を出た。



リビングに差し込む光は月のものだろう。
そう言えば今日は満月だった。

窓の外を見れば空は晴れている。
ベランダに出れば、少し寒いが月が綺麗に見える。

遠くのマンションにもまだ灯りがついている。
私みたいに眠れない人がいるのかな。
それともまだ仕事をしているのかな。


夜景を眺めながら想像を膨らませて、眠気がやってくるのを待つ。



カラカラカラ

ベランダの戸が開く音がして振り向くと、


「はぁ、寒……。」


さっき眠りについた筈の彼がいた。