おやすみ今日の君


カチャ


リビングと寝室を繋ぐドアが開いた音がして、咄嗟に寝たフリをする。

ヒタヒタと裸足がフローリングを歩く。



私がいるベッドの横でピタリと気配が止まった。


「……寝てる……よね?」


近くで彼の匂いがする。

彼の手が私の髪をといて、そのまま頬を滑る。

擽ったくて身動ぐと、彼の手がピタリと止まる。


「……起きてる……?」


彼の手は固まったまま動かない。

起きていると言い辛くて、寝たフリを続けていると、彼はまたするりと私を撫でて、


「可愛い……。」


普段は恥ずかしがってなかなか口に出してくれない彼が、聞こえるか聞こえないか位の声で呟く。

いつも私が先に寝た時はこんな事をしてたんだ。

嬉しくて顔が緩みそうになるのを必死で耐えていると、ベッドが軋んだ。


「すき」


ああ、もうだめ。

顔がにやけてしまって、きっと彼に起きている事がバレてしまう。

ごめん、起きてた。