10代のころ、雪丸と礼は出会った。
当時の雪丸は学校にも行けなくて、バイトをしながら生きていくのが精一杯だった。
その頃知り合ったのが礼。
高校には行きながら夜になると食堂の厨房でバイトをして、必死に生きていた。
スタイルもよくて美人のくせに男運だけは悪くて、つまらない男にばかり引っかかる礼に雪丸はいつも説教していた。

「今度はまともな男なんだろうな?」
「失礼ね。みんな本当はいい人なのよ」
「どこがだよ。何人もの女と同時に付き合う男や、ギャンブルで借金まみれの男、嫁と子供がいるのに高校生と付き合おうとする男のどこがいい奴なんだよ」

きっと礼が優しいから、そういう男が寄ってくるんだ。

「雪丸だって、かわいい中学生を拾ったそうじゃないの」
普段友達の少ない雪丸をからかうように礼が笑う。

「ふん、勝手に笑ってろ」

こうなってしまったことに一番驚いているのは雪丸自身。
まさか中学生と友達になるなんて思ってもいなかった。
まあ、それだけ遥が特別だってことだが。

「一度会わせてよ」

「そうだな」
礼になら会わせてもいい。

これが運命の出会いだった。