あと一年で卒業できる大学をなんでわざわざ休学するんだと叱られた。
一緒に暮らしていながら嘘をついてホステスのバイトをしていたことも、怒っていた。

「ごめんなさい」
他に言葉がなく、口にした瞬間涙があふれてしまった。

「反省しているんだな?」
「はい」

遥に嘘をつきだましてしまったことに申し訳ない思いでいっぱい。

「じゃあ、すぐにを辞めろ」

え?
「それは・・・」

「嫌なのか?」

だって、バイトを辞めれば収入を失う訳で、次に住むアパートを見つけることもできなくなる。

「俺は、ホステスのバイトなんて許す気はないぞ」
「でも・・・」

「店を教えてくれ。俺が連絡するから」
「いや、ちょっと待って」

遥の気持ちは理解する。
怒るのも当然だと思うし、それだけのことをしたんだという自覚もある。
でも、

「金を貯めたいんなら俺が紹介してやる。だから今すぐに夜のバイトはやめろ」

ん?

「いいな?」

えっと、その・・・

「もしかして、このままここに置いてくれるの?」

「ああ」

嘘。
てっきり「出て行け」って言われると思っていた。

「本当に、いいの?」
「しつこいっ」

なぜだろう、萌夏は涙が止まらなかった。
この涙は、住む所を失うことがなかったことへのホッとした涙。
特別な感情なんてあるはずはないのに・・・

「ありがとう」
「バカ、俺は怒っているんだ」
「うん」

でも、ありがとう。