「そうだ、明日は日曜だから早めに来ておいしい朝食を作るわ。最近出来立ての料理を食べてないでしょ?」

朝と夜に総菜やお弁当を運んではいるけれど、やっぱりご飯はできたてが一番。
ご馳走でなくても、その方が美味しいに決まっている。

「うん、でも、萌夏が一緒に食べてくれる方がうれしい」

「遥・・・」
思わず涙が出そうになった。

きっと今、遥はものすごくつらいんだ。
全てが敵に見えて、針のむしろの上にいるようだろう。
もし自分が遥の立場だったらと思うと、萌夏は胸が締め付けられる気持ちになった。

「ごめんね、遥」

これだけ追い詰められれば発狂してしまうか逃げ出すか、どちらにしても普通ではいられないと思う。
こうやって冷静でいられる遥はそれだけ心が強いってこと。

「遅くなってもいいから、ここに戻って来いよ」

そんな遥でも、一人になりたくないときはあるんだよね

「わかった。遅くなってもここに帰ってくるから」
「ああ」

ただの同居人のはずなのにと思わなくもないが、今は非常事態。
傷ついた遥のためなら、何でもしてあげたい。