望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。



 あとは食品売り場に行って食材を買うだけである。
 そのため私たちはショッピングモールの一階に向かっていたけれど、その途中にふとある店に目が留まる。


「……可愛い」

 それは雑貨屋さんで、80センチほどの長さのアニマルクッションだった。

 猫に始まり、犬やクマなど、複数の種類が置かれていた。


 中でも三毛猫のクッションが可愛くて、つい手に取ってしまう。

 ダブルベッドやソファにクッション一つないため、物寂しいと思っていたところだった。


 まさにこのクッションは打って付けである。


「もしかして欲しいのか?」

 一人で買おうか悩んでいると、郁也さんに声をかけられる。

 すっかり彼の存在を忘れていたため、咄嗟に元の場所に直したけれど。


「……ソファとかベッドにクッションって必要じゃないですか」

「俺は特に必要と思わないけどな」
「……」


 郁也さんにバカにしたような視線を向けられている気がして、彼の方を向けない。


「別に子供で結構なので私はこれを買います」
「……ふっ」

「笑わないでください!」
「お前が面白いこと言うのが悪いんだろ」


 面白いって……何か面白いことを言った覚えはない。


「それで、欲しいのはその三毛猫でいいのか」
「あ、はい。これが一番好きで……」

「じゃあ買うから俺に渡せ」

「はい。お願いしま……って、どうして郁也さんが買おうとしているんですか」


 当たり前のように言われ、ついクッションを渡してしまったけれど、慌てて取り返そうとした。