あとは食品売り場に行って食材を買うだけである。
そのため私たちはショッピングモールの一階に向かっていたけれど、その途中にふとある店に目が留まる。
「……可愛い」
それは雑貨屋さんで、80センチほどの長さのアニマルクッションだった。
猫に始まり、犬やクマなど、複数の種類が置かれていた。
中でも三毛猫のクッションが可愛くて、つい手に取ってしまう。
ダブルベッドやソファにクッション一つないため、物寂しいと思っていたところだった。
まさにこのクッションは打って付けである。
「もしかして欲しいのか?」
一人で買おうか悩んでいると、郁也さんに声をかけられる。
すっかり彼の存在を忘れていたため、咄嗟に元の場所に直したけれど。
「……ソファとかベッドにクッションって必要じゃないですか」
「俺は特に必要と思わないけどな」
「……」
郁也さんにバカにしたような視線を向けられている気がして、彼の方を向けない。
「別に子供で結構なので私はこれを買います」
「……ふっ」
「笑わないでください!」
「お前が面白いこと言うのが悪いんだろ」
面白いって……何か面白いことを言った覚えはない。
「それで、欲しいのはその三毛猫でいいのか」
「あ、はい。これが一番好きで……」
「じゃあ買うから俺に渡せ」
「はい。お願いしま……って、どうして郁也さんが買おうとしているんですか」
当たり前のように言われ、ついクッションを渡してしまったけれど、慌てて取り返そうとした。



