「あ、ハンドミキサーも……!」
お菓子を作る上でハンドミキサーの存在はありがたい。これも欲しいと思ってしまう。
けれどさすがに買いすぎだろうか。
「欲しいなら買えばいい」
「いいんですか……!?ありがとうございます」
お菓子作りは完全に趣味だというのに、郁也さんは買っていいと言ってくれた。
お言葉に甘えて買わさせてもらう。
自分で稼いだお金で買おうと思っていたため、本当にありがたい。
「郁也さん、見てください。これ、二人で鍋するのに丁度いい大きさじゃないですか?」
これ以上長居すると余計に欲しい物が増えると思い、レジに向かおうとした途中に、とある卓上鍋に目がいった。
冬といえば鍋の季節だ、今の時期にぴったりの商品である。
「へぇ、“二人”で鍋を……な?」
「……あ」
“二人”の部分を強調され、ハッとする。
つい買い物に夢中になってしまい、二人で鍋をする前提で話していたのだ。
「やっぱりナシで……」
「まあ気が向いたらすればいい。色は赤と橙の2種類あるが、どっちがいいんだ?」
「……赤がいいです」
郁也さんが買うように促してくるため、誘惑に負けて周りが赤の卓上鍋も買ってもらうことになった。



