「いつまでもブツブツ呟いてないで、そろそろ寝たらどうだ。別にお前に欲情することなんてないから安心しろ」
「なっ……あのですね!そういうことを言っているわけじゃないんです!」
確かに今は黒のパーカーのようなフード付きのルームウェアを着ていて、下も黒のズボンのため、女らしさの欠片もないことぐらいわかっているけれど、わざわざ言葉にする意味がわからない。
「声が大きい、隣の部屋に聞こえたらどうすんだ」
大きな声で言い返してしまう私に対して、郁也さんは注意をしてきた。
こればかりは私が悪いため、大人しく口を閉じる。
2階にある空き部屋でお母さんと京子さんは寝るらしく、すでにその空き部屋にいる。
そのため大きな声で騒げば喧嘩だと勘違いされてしまう恐れだってあるのだ。
「とにかく、この枕と枕の間が私たちの境界線にします。絶対に私の陣地には入ってこないでくださいね!」
ダブルベッドということで、枕は二つある。
その枕の中心を境界線として、それぞれの陣地に分けることにした。
「陣地って子供かよ」
「子供で結構なので!」
郁也さんに笑われてしまい、ついムキになって言い返してしまう。
これでは余計に子供だと思われることだろう。



