望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。



 説教はお母さんが「京子ちゃん、もうその辺にしてあげて」と言うまで続いていた。

 京子さんも我を忘れていたらしく、少し恥ずかしそうにして「ごめんなさいね」と謝られた。


 とはいえ夫婦らしくないのは事実である。
 それを悟られないためにも、二人で出掛けた方がいいのだろうか。

 絶対に楽しくない気しかしないけれど。


 幸せいっぱいな新婚夫婦を演じるためには、必要なことかもしれない。

 ただこの話を郁也さんにしたとして、無理だと拒否される可能性の方が高そうだ。


「ねぇ、お母さん。そろそろ帰らなくていいの?」


 コーヒーを飲み終わった後もしばらくの間、話は盛り上がって……というより、お母さんと京子さんが二人で楽しそうに会話をしていた。

 私はその間、笑顔を崩さないようにだけ意識していたけれど、口の端がピクピクと動いたことで限界を感じ、途中で片付けのために席を外した。

 キッチンに立って洗い物をしていると、お母さんがお茶はないかと私の元へとやってきたタイミングで、帰らないのかと尋ねてみた──けれど。


「あら、言ってなかったかしら。私たち、今日ここに泊まっていくのよ」

「……はい?」

「お父さんにも伝えてあるわ。それに私も京子さんも泊まる準備、バッチリだから安心してね」

「いやいや、そういう意味じゃなくて」


 二人は本気で泊まるつもりなのだろうか。

 それってかなり困るのだけれど。だって、私と郁也さんが別々に寝ることがバレてしまう。