説教はお母さんが「京子ちゃん、もうその辺にしてあげて」と言うまで続いていた。
京子さんも我を忘れていたらしく、少し恥ずかしそうにして「ごめんなさいね」と謝られた。
とはいえ夫婦らしくないのは事実である。
それを悟られないためにも、二人で出掛けた方がいいのだろうか。
絶対に楽しくない気しかしないけれど。
幸せいっぱいな新婚夫婦を演じるためには、必要なことかもしれない。
ただこの話を郁也さんにしたとして、無理だと拒否される可能性の方が高そうだ。
「ねぇ、お母さん。そろそろ帰らなくていいの?」
コーヒーを飲み終わった後もしばらくの間、話は盛り上がって……というより、お母さんと京子さんが二人で楽しそうに会話をしていた。
私はその間、笑顔を崩さないようにだけ意識していたけれど、口の端がピクピクと動いたことで限界を感じ、途中で片付けのために席を外した。
キッチンに立って洗い物をしていると、お母さんがお茶はないかと私の元へとやってきたタイミングで、帰らないのかと尋ねてみた──けれど。
「あら、言ってなかったかしら。私たち、今日ここに泊まっていくのよ」
「……はい?」
「お父さんにも伝えてあるわ。それに私も京子さんも泊まる準備、バッチリだから安心してね」
「いやいや、そういう意味じゃなくて」
二人は本気で泊まるつもりなのだろうか。
それってかなり困るのだけれど。だって、私と郁也さんが別々に寝ることがバレてしまう。



