「あら、ダメよ朱莉ちゃん。郁也を甘やかしては。早い段階から郁也にも家事をやらせないと」
「何言ってるの京子ちゃん、郁也さんは次期社長の座に就くんでしょう?ただでさえ仕事で忙しいのに、家事なんかしていたら体が壊れてしまうわ」
「夫婦なんだから何事も助け合いよ。それに今はヒラなのよ?時間もたくさんあるはず」
ヒラ……って、郁也さんは今、平社員なんだ。
てっきり偉い位にいるのだと思っていたけれど、どうやら違うようだ。
「だから郁也も朱莉ちゃんの手伝いをしなさい」
「ああ、今日にでも朱莉と話し合ってみる」
「えっ……あの、郁也さん」
「気を遣わないでいいからね朱莉ちゃん。郁也にも家事をやらせるのよ?」
京子さんはニッコリと笑い、その笑顔に少し圧を感じた。
さすがの郁也さんも母親には逆らえないのだろうか。
とはいえ、彼が家事をやるとは思えず、あまり期待しないでおく。
その後も母親たちの質問が続き、まだ一度も二人で出かけていないと答えた時は驚かれた。
けれど出かけたことがあると嘘を吐けば、さらに深掘りされると思い、互いに忙しくて時間が取れなかったということで納得してもらう。
「あと一応確認なんだけどね、二人ともちゃんと避妊はしてる?」
ご飯を食べ終わり、食後のコーヒーを用意して飲んでいる時に、京子さんが声を潜めて質問してきた。
驚きのあまり、私は咽せて咳き込んでしまう。



