次の日の朝。
郁也さんは珍しくリビングに姿を現していた。
母親たちは午後に来るようで、午前中はもてなす準備で大忙しだ。
どちらの母親も来るというのが本当に厄介で、手を抜くことができない。
私の親だけなら、少しくらい素を見せても大丈夫なのだけれど。
郁也さんは私に何かすることはないかと視線で尋ねてきて、言葉にして欲しいと重いながらもトイレ掃除やお風呂掃除などをお願いした。
その間に私は洗濯を干し、スーパーへ買い物に行って食材を調達し、お昼の準備を始める。
時間はどんどん過ぎていき、午後1時頃にインターフォンが鳴った。
仲の良い夫婦を演じるため、二人で出迎えに玄関へと向かう。
「郁也さん、余計なことは話さないでくださいね」
「それはこっちのセリフだ。絶対にボロを出すなよ」
互いに結婚指輪をつけていることを確認し、ゆっくりとドアを開ける。
「二人とも、ごめんなさいね突然」
「久しぶりね、結婚式以来かしら?」
私のお母さんと京子さんは私たちを見るなり、とても嬉しそうに笑っていた。
私もお母さんを見ると、自然と実家に帰りたいと思ってしまう。
「どうぞ、中に入ってください」
二人をリビングへ案内し、4人掛けのテーブル席に二人並んで座ってもらう。
もちろん私は郁也さんと隣同士に座り、用意していたお昼ご飯を早速食べ始める。



