お母さんから送られてきたメッセージを見せると、彼も自分のスマホを確認し、どうやら彼のスマホにも京子さんから連絡が来ていたようだった。
「おい」
「何ですか」
「今から作戦会議を開くぞ」
「えっ、今からですか?」
「当たり前だ。俺たちは親の前でも仲の良い夫婦を演じているんだからな」
郁也さんはそう言って私の横を通り過ぎ、キッチンへと足を進めていた。
「郁也さん?どうし……」
郁也さんにどうしたのかときこうとしたけれど、彼がラップをかけてある料理のお皿を手にしたことで、私は口を閉じた。
「お前は何か食べてきたのか」
「はい」
本当は食べていないけれど、気を遣わせたくないため嘘を吐いた。
正直、郁也さんが気を遣ってくれるのかと疑いの念はあるけれど。
彼は私の作った料理とご飯をレンジで温めてから、テーブルにやってきた。
初めて彼と向かい合う形で椅子に座る。
こんな風に郁也さんとリビングで過ごすのは初めてで、どこか落ち着かない中、私たちは明日に向けた話し合いを始めた。
話が終わった後、目の前で私の作った料理を残さず食べた郁也さんを見て、先程までの虚しい気持ちがいつの間にかなくなり、単純だなと思いつつも彼に隠れて笑みが溢れてしまう。
少しだけ、本当に少しだけ頑張りが報われた気がした。



