望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。



「そんな、畏まらないでくださいね!今日は俺たちがお邪魔させてもらってる側なんで……」

「お前ら、いつになく緊張してるんだな。ほら、とりあえず上がって」


 同僚の一人が話している途中なのに、それを遮るように話し始めた郁也さん。

 何でも自分が仕切らないと気が済まない性分なのだろうか。


「郁也さん、お帰りなさい。荷物、預かりますね」

「いや、大丈夫だ。それよりこいつらを案内してくれるか?」


 いつになく優しい態度に調子が狂う。
 一応私は怒っているのだけれど、彼の同僚もいるということで変な態度はとれない。


「わかりました。それではみなさん、荷物はこちらへ」


 リビングの隅に荷物を置いてもらい、席へと案内した。

 急いでお酒や用意していた料理をテーブルに並べていき、最後に炊き立てのお米と温めた野菜スープをそれぞれのお椀に盛り付けして出せば終了である。



「えっ、俺たちのためにこんなにもたくさん……ありがとうございます!」

「すごいっすね……何て完璧な奥さんなんだ」


 みんな、テーブルに並べられた料理を見て感嘆の声をもらしていた。

 突然家に来ると言われたにも関わらず、ここまで頑張ったのだ。そのような反応をされないと、報われた気がしない。


「もったいないお言葉です」

 彼らの反応を見て嬉しそうに笑うふりをして、『ごゆっくりどうぞ』という言葉と共に私はキッチンへと向かう。