「みんな、九条さんに会えなくて寂しいって言っていたよ」
「そんな、2週間ぐらいしか休んでいないのに」
「九条さんとシフト被っていない子は1ヶ月近く会えていないからね」
優希くんは優しさが雰囲気に表れているような人だ。
奥二重の目は垂れ目がちで、より穏やかな雰囲気を際立たせている。
目の下にホクロがあるのも印象的だ。
髪は何度か染めたことがあるようで、今は茶髪だった。黒髪姿の優希くんも気にはなるけれど、茶髪の方が彼に似合っていると思った。
黒髪姿を見たらかっこいいと思い、黒髪が良い!となるかもしれないけれど。
こうして改めて優希くんを見ると、郁也さんとは真逆のような人だと思った。
郁也さんはいつも人を見下して、自分勝手な発言ばかりで。
気に障ることがあればすぐ鋭い目つきで睨んでくるし、口調だって乱暴だ。
優希くんみたいにもっと穏やかな口調で話せないのだろうか。
いくら顔が良いからといって、圧を感じさせるあの雰囲気は苦手である。
それに性格が悪いと、顔も好ましいとは思わず、郁也さんの顔すらも苦手意識が芽生えそうだ。
「新しい生活はどう?」
優希くんは自然に質問してきたけれど、結婚に関することに触れられるとは思っておらず、正直驚いた。