すんなり賛成してもらえるなんて考えてもなかった。でもあたしの気持ちくらい聞いてくれるはずだって、期待してた。妹のお願いには弱いお兄だから・・・って。

一撃で仕留められた気分だった。あたしにじゃなく自身に刃を突き付ける、捨て身のお兄に。

「・・・そんなに駄目なの・・・?」

やっとのことで喉元から押し上げた声が震えた。顔を起こしたお兄と目が合って泣きそうになる。

「絶対に泣かされないとは言わないけど、でも、あたしを一番大事にする約束は絶対に嘘じゃないの・・・っ。お兄以外の誰かにそうして欲しいって本気で思ったのは初めてだったの。お願いお兄、自分のことは自分で責任取ります。あたしが納得して答えを出すまで時間をくださいっ、お願い・・・!」

憎まれ役になってでも守ろうとする、優しさも愛情も痛いほど分かってて。どうしても堪えきれない自分がいた。座卓に額を擦りつけるくらい頭を垂れ、必死に訴えてた。

“今なら傷も浅い”。・・・深くはないかも知れない、お兄の言うとおりにすれば。いつかカサブタが出来て塞がって。だけど膿み続けるの。

忘れたくても忘れられなくなる。一生疼いて、柳さんを。