『宝物になって』

あの(ひと)は言った。
“なにも持ってないから”
・・・そう聞こえた。

『オレを繋いで』

簡単に(ほど)けたり、
棄てられないものに。
そう聞こえてた。

ずっと探してたんじゃないかって。求めて次へ。次へ。ダレカに辿り着くまで。

どうしてかは分かんない、ただ。柳さんはあたしを“最後”に選んだ、偶然が重なった出会いで。・・・そんな気がしてる。

お兄は眉ひとつ動かさなかった。是でも否でもなくじっとこっちを見据え、おもむろに言った。