ねぇ秋生ちゃん。

あたしの視点(ピント)、知らない内にお兄からすっごくズレてたみたい。いつの間にか正面に写してるのはこの(ひと)だった。

フレームから外したいならそうすればいいのに。柳さんに真っ直ぐ合わせようとしてる。確かめようとしてる。もっと、どんな彼が映るのか。

知りたいの。あたしもこの(ひと)の正面に見えてるのか。見続けてくれるか。

答えが欲しい。己惚れていいなら。

「あたしを一番大事にしなかったら捨てるから」

上目遣いに素っ気なく。試す。

「いいよ殺して。ウソだと思ったら」

不敵で甘い笑み。頬を撫でる男らしい指が滑り落ち、顎の下を捕まえられる。

「どうせならオレの首に縄つけて繋いでよ。・・・オマエに」

持ち上げられた視線が合わさって。
心臓が鷲掴みにされた。
目を泳がせたけど遅かった。

ゼッタイニ離シテアゲナイ。
欲望の虜になった気がした。



お兄を裏切ったような罪悪感に苛まれながら。