どんどん自分が塗り替えられてく感覚。そのままこの(ひと)の熱に閉じ込められたら、元にも戻れなくなりそうで。逃げ場がなくなりそうで。怖かった。

理性と衝動にかき乱されながら、繋がり続けた唇が(ほど)け。息も絶え絶えに喘ぐ。温かい掌があたしの頬を包み、指先で肌をなぞってる。優しい触れ方。

「ランプの精だから大事に持っててオレを」

歌うように言って笑んだ気配。

整理のつかない感情に揉みくちゃにされてるあたしは、俯かせ気味に逸らしてた顔をようやく上向かせた。きっとカオスが丸わかりだろうけど強がって。

「・・・呼べば出てくるの?」

「淳人の代わりにいつでも」

艶めかしさを滲ませ、奥に愛しみを秘めた眼差し。・・・お兄みたいな。

最初からどうしてか酷い男には思えてなかった。軽薄そうでも、キスを盗まれても。

秋生ちゃんもそうじゃないの?だから柳さんに念を押して、わざとあたしを置いて帰ったんじゃないの?

涼しげな笑顔が頭の端っこを過った。“自分できっちりカタ付けなさいよ?”って、決して甘やかしてくれない彼女の笑い顔が。