スイレン ~水恋~

帰った・・・?あたしを置いて?!

血の気が引く思いでバッグからスマホを引っ掴むと、アドレスを呼び出す。すぐに繋がった相手に最大限ひそめた声で猛抗議。

「ひどいじゃないっ秋生ちゃん!!!」

『まどろっこしいから1対1(サシ)で話してケリ付けちゃいなさいよー。“約束”だかなんだか思い出して終わりなんだから、簡単でしょ?』

「そっ、れはそうだけど・・・ッ」

『キス泥棒された文句でもなんでもぶちまけて、スッパリ縁を切っておいでー』

言うだけ言って切れた。こういう時の秋生ちゃんはほんと容赦ない、自分のスジは自分で通せって。

・・・ああもう。きゅっとお腹の底に力を込めた。

そうするのがいいって。あたしが一番分かってるの、秋生ちゃん。