スイレン ~水恋~

「今日は友達も一緒?コンバンハ、綺麗なお姉さん」

あたしの頭上を越えてった軽い挨拶に、順番が色々とすっ飛んでたのを思い出す。

「初めましてヤナギさん。フジシロトキオっていいます」

目がとびきり面白がってる美人悪魔が、笑顔で自己紹介。

「梓は高校の後輩で、もう妹みたいなものかなー」

「じゃあ仲良しなんだ。ヨロシクね、“アリス”ちゃん?」

ありす?不思議の国の?

あたしも勝手に“あかずきん”呼ばわりされてるし。そういう口説き方の趣味?・・・どうでもいいけど。

「・・・見かけによらないんですねーヤナギさん」

「お互いサマじゃないかなぁ」

なんだか二人だけで通じてる会話でクスクス笑い合ってるのを、いやに冷めた気持ちが滲んでく自分がいる。