志田に続いて中に入れば、黒とオーク系に統一された落ち着いた雰囲気のバーだった。
仄明るいダウンライトと小さく流れるジャズピアノ。広さは思ったほどない。カウンター6、7席にテーブル4席。お客さんはカウンターに一人、テーブルでサラリーマン風な二人が向かい合う。
釘付けになったのは、壁一面を埋める大きなフォトパネル。サバンナの夕日。枝先に葉を茂らせた大樹の向こうに光の球体が暮れがかる。生き物はどこにもいない。乾いた寂しい風だけが凪いでそうな。
「気に入ってくれた?その写真」
聞こえた方に思わず振り返る。
「オレのお気に入りでね。眺めてるだけで癒やされるでしょ」
カウンターの向こうからバーテンダーが淡い笑みをほころばせてた。白シャツに黒の襟付きベスト、ネクタイ姿もけっこう様になってる長身の男。
憶えがあった。馴れ馴れしい喋り方も。
「“giraffe”へようこそ、梓ちゃん」
お兄の披露宴で会った時とは違う、闇の香と色気が漂うその顔も。
仄明るいダウンライトと小さく流れるジャズピアノ。広さは思ったほどない。カウンター6、7席にテーブル4席。お客さんはカウンターに一人、テーブルでサラリーマン風な二人が向かい合う。
釘付けになったのは、壁一面を埋める大きなフォトパネル。サバンナの夕日。枝先に葉を茂らせた大樹の向こうに光の球体が暮れがかる。生き物はどこにもいない。乾いた寂しい風だけが凪いでそうな。
「気に入ってくれた?その写真」
聞こえた方に思わず振り返る。
「オレのお気に入りでね。眺めてるだけで癒やされるでしょ」
カウンターの向こうからバーテンダーが淡い笑みをほころばせてた。白シャツに黒の襟付きベスト、ネクタイ姿もけっこう様になってる長身の男。
憶えがあった。馴れ馴れしい喋り方も。
「“giraffe”へようこそ、梓ちゃん」
お兄の披露宴で会った時とは違う、闇の香と色気が漂うその顔も。



