「満更でもないようだし、あとは二人に任せるとしようかなぁ」
白々しくおどけるおじさま、鳴宮のお坊っちゃんとしれっと挨拶を交わした両親は、上機嫌で引き上げてく。
三人の後ろ姿にマイナス百度の冷凍光線をお見舞いしながら、意地でも結婚相手は自分で見つけようと固く誓った。出来ればおじさま達が死ぬほど残念がりそうな相手を!
「梓」
呼ばれて隣りを仰ぐ。伸びてきたお兄の片手があたしの頬をやんわり包み。
「あまり羽目を外さんようにな」
「・・・うん。大丈夫」
口許は緩めて見せても、眼差しと指先であたしを心配してる。『羽目を外すな』は『隙を見せるな』に聴こえた。掌の温もりに摺り寄せ、安心させたくてしっかり頷き返した。
ああもう、さっさと片付けて帰ろう。時間外手当も付かないのに馬鹿馬鹿しいったら。
「お嬢、車の用意が」
エントランス側から戻った志田に促され、お兄と杏花さんに笑顔で小さく手を振ると、お坊っちゃんを連れ立って玄関先に停まってた車に乗り込む。
白々しくおどけるおじさま、鳴宮のお坊っちゃんとしれっと挨拶を交わした両親は、上機嫌で引き上げてく。
三人の後ろ姿にマイナス百度の冷凍光線をお見舞いしながら、意地でも結婚相手は自分で見つけようと固く誓った。出来ればおじさま達が死ぬほど残念がりそうな相手を!
「梓」
呼ばれて隣りを仰ぐ。伸びてきたお兄の片手があたしの頬をやんわり包み。
「あまり羽目を外さんようにな」
「・・・うん。大丈夫」
口許は緩めて見せても、眼差しと指先であたしを心配してる。『羽目を外すな』は『隙を見せるな』に聴こえた。掌の温もりに摺り寄せ、安心させたくてしっかり頷き返した。
ああもう、さっさと片付けて帰ろう。時間外手当も付かないのに馬鹿馬鹿しいったら。
「お嬢、車の用意が」
エントランス側から戻った志田に促され、お兄と杏花さんに笑顔で小さく手を振ると、お坊っちゃんを連れ立って玄関先に停まってた車に乗り込む。



