男はみんな優しい嘘つきだった。 伊沢さんもお兄も、隆二が生きてるのを知っててあたしに隠してた。 二度も置いてかれる悲しみを味わわせないように。 あるかもしれない、別の幸せへ続く道を塞いでしまわないように。 隆二はアイシテルの代わりに嘘をついた。 いいの、騙されてあげる。 待ってる。 いつまでだって。 あの世でだって。 ハチミツ色に溶けた笑顔で言うわ。 とびきり優しい『おかえりなさい』を。 FIN