目的の収納ケースもお会計し、双子は前を歩かせた。次はスーパー。一年生とは言え、子供は本気で油断大敵。建物の出っ張りが屋根代わりになる通路の端を、声をかけゆっくり。
「落ちましたよ」
不意に真後ろから声をかけられた。
他の買い物客に追い抜かれたりすれ違ったりして、片手に下げた荷物からなにか零れたのかと反射的に振り向く。するとキャップを被ったジーパン姿の、四十代くらいの男性があたしに向かって掌を差し出してた。
「すみません、あたしのじゃ」
上に乗ってたのは、さっき買った物でも持ち物でもなく。
「いえ・・・このキーケース、落としましたよ」
キーケース?
眉を顰める。キーホルダーは付けてるけど、ケースなんて持ってな・・・。
見知らない男の手にあるそれをじっと見つめる。黒ずんで形も歪、名刺入れより小ぶりなサイズで、着物の合わせみたいな特徴的なデザインの。
「どうぞ」
事務的な口調に、空いてる手が無意識に受け取ってた。もっと重みがあるかと思ったのに軽く感じた。色も違うし、ちゃんとしたイタリアンレザーで、こんな萎びてなかった。
だけど忘れるはずないじゃない。
隆二に似合いそうなのを一生懸命選んで、
これって決めて。
最後のクリスマスに贈ったんだから。
「落ちましたよ」
不意に真後ろから声をかけられた。
他の買い物客に追い抜かれたりすれ違ったりして、片手に下げた荷物からなにか零れたのかと反射的に振り向く。するとキャップを被ったジーパン姿の、四十代くらいの男性があたしに向かって掌を差し出してた。
「すみません、あたしのじゃ」
上に乗ってたのは、さっき買った物でも持ち物でもなく。
「いえ・・・このキーケース、落としましたよ」
キーケース?
眉を顰める。キーホルダーは付けてるけど、ケースなんて持ってな・・・。
見知らない男の手にあるそれをじっと見つめる。黒ずんで形も歪、名刺入れより小ぶりなサイズで、着物の合わせみたいな特徴的なデザインの。
「どうぞ」
事務的な口調に、空いてる手が無意識に受け取ってた。もっと重みがあるかと思ったのに軽く感じた。色も違うし、ちゃんとしたイタリアンレザーで、こんな萎びてなかった。
だけど忘れるはずないじゃない。
隆二に似合いそうなのを一生懸命選んで、
これって決めて。
最後のクリスマスに贈ったんだから。



