リビングの時計を見やると、そろそろ下校時刻。通う公立小学校は少し先のニュータウンにある。徒歩通学が難しければ各家庭で送迎したり、地域のコミュニティバスを利用したり。

隆二は。あたしに渡るように、資産と呼べるものの全てを伊沢さんに託してて。残してくれたお金を大事に遠慮なく使わせてもらい、湊と同じ私立に入学させてもよかった。

だけど、これから関わってく環境も立場も違ってくる。それなら別々のほうがいい。・・・ううん、優二と有紗が湊に近付きすぎるのが怖かった。奪われたくなかった、極道っていう名の魔性には。

夕飯の下ごしらえを中断して迎えに行く準備を始める。志田は朝から留守だった。

『たまには羽のばして、三泊くらいしてきたら?』

子供達の送りついでに仕事だって聞いたから、(ねぎら)ったつもりだったのに。途端に暗黒オーラ放って、無言で出かけてった。

なにが地雷でどこに埋まってるんだか。
ねぇ隆二?地味に面倒くさいわよ、この男!