パパじゃないのに一緒に暮らしてる理由だとか、生まれる前からパパがいない理由とか。ママが誰の妹で、イトコの湊は将来なにを継ぐのか。きちんと理解できる日も遠くないんだろう。

知った優二と有紗がどんな人生を選んでも、道を外れない限りあたしは見守る。自分で出した答えは自分に責任を取らせる男だったから、隆二もそうしたと思う。

もし子供達が、子供達なりの正義で極道を嫌ったらその時は。お兄や秋生ちゃんとも離れて親子三人、海に近い町で暮らしたっていい。地球の海はどことも繋がってるし、いつか泥船の欠片と一緒に隆二が還ってくるわ。

「ショウ君に『パパじゃないけどいい?』って、ちゃあんと言わなくちゃ。ユウのパパはオレだよ、って隆二が寂しがるでしょう?」

「うーんとねぇ、わかったー。パパ、ごめんなさぁい」

ダイニングテーブルから壁掛けテレビの方に向かい、笑いかける無邪気な息子。

来るたび秋生ちゃんに半分呆れられて、半分感心されるんだけど。そっち側の壁には、パネルにした隆二の写真をギャラリー風に飾ってあった。モノクロとセピアでノスタルジックに。

隆二は映像に残りたがらない男だった。いつも秋生ちゃんの不意打ちショットを分けてもらってた。あたしと正面で写ってるツーショットは残念ながら。パネルに永久保存された隆二は、ハルトさんと煙草吸ってたり、バーベキューしながら飲んでたり。

お腹の中で育ってく双子にこれでもかってくらい、話して聞かせた。それだけじゃない、ママの知ってるパパを一から順に。