嬉しいより何より、本心が分からなくて混乱してた。生まれて初めて本気で好きになった男の赤ちゃんを、欲しくないわけない。産みたい、隆二と血で永遠に繋がりたい。

湊を抱っこするたび本当は、この世で一番かけがえのない宝物をもらった杏花さんが心底羨ましかった。

もしかしたら。ランプの精に願えば叶えてくれたのかもしれない、隆二は望んでなくても。それだけはどうしても嫌だった・・・!!

腕の中に埋もれたまま必死で強がる。

「・・・やめてよ。お兄とは違うわ、もう誰も隆二の代わりにならないんだから」

たとえ“家族”は作れなくても、隆二と過ごした記憶を詰め込んだ宝箱があれば平気よ。中を覗いたらにぎやかで、ちっとも寂しくない。

「子供はそういうんじゃないの、あげるなんて簡単に言わないで」

「全部もらってくれる約束。・・・じゃなかったっけ?」

笑んだ気配がした。柔らかいのに強かな声だった。思わず顔を上げ、目が合った。