純度100%の善意かどうかは微妙でも、あたし達の為に骨を折ってくれたのには違いないの。

「あとでちゃんとお礼言うわ」

「センセイ喜ぶよ」

「隆二は?」

「なにが?」

「あたしにして欲しいこととか、ない?」

家をもらったお返しなんて正直、考えつかない。

「あるよ」

艶っぽく囁かれながら耳を(ねぶ)られる。指が躰を這い回る。思考と理性がまた溶かされてく。
 
「ずっとオレだけ欲しがって」

バスタブの中で向かい合って躰を繋げ、隆二の頬を両手で包んであたしから唇を啄む。

『アイシテル』も『ソバニイテ』も、
言葉じゃ隆二を繋いでおけないの。

あたしが縄にでも浮き輪にでもなって
全力で捕まえておくの。

「・・・そうするに決まってるわ」

二度と。
置いてなんか行かせない。