何かしら言われるのは分かりきってたし、あたしも多少は成長したし。たまに会うくらいの距離感になって、いちいち突っかかることも減った。

溜め息が洩れつつ志田を連れて戻ると、途端にリビングの空気が荒む。

「・・・好き勝手するな、殺すぞ」

「梓は喜んでるのになぁ」

窓際に立ち、眼から冷凍光線を放つ物騒なお客に、ソファで脚を組む隆二が口角を上げる。

飯事(ままごと)が済んだらお嬢を返せ」

「妬くなよ」

傍らのあたしを抱き寄せ、薄笑いで目を細めた横顔。

「コレは、オレが骨も残さず食べるんだよ」

返さない、と。オレのものだと。たったそれだけの言葉で、あたしの心を根こそぎ奪ってく男。