艶めかしい笑い顔より不敵な方が好き。名前で呼ばれるのもオマエって呼ばれるのも好き。語尾が伸びる喋り方も、意地悪を言われるのも。

あたしをさんざん甘やかしながら、ずるく甘えられる。なんでも聞くって言いながら、いつの間にか隆二の思い通り。十歳も上の子供に見えたり、やっぱり十歳違いの大人だったり。

普通と違うのは二人の時計にタイマーが付いてるって、それだけ。一秒を惜しんで時間を使い果たす方を選んだ。それだけ。

「隆二」

「ん?」

「あたしが隆二をありったけ貰うんだから、出し惜しみなんかしないで」

約束するわ。

「腕が千切れるくらい重くたって、絶対放り出さないから」

瞬間、躰が折れそうなほどきつく抱き竦められた。・・・泣いてるのかと。思った。

「・・・オマエだけだよ」

儚げな声だった。

「オレを残すのも、オレに残るのも」

心から愛おしんで聞こえた。録音しとけばよかった。

「・・・あたしもよ」

腕の中で素直に笑った。