思い返せば、何のかんの隆二をけしかけたのって誰だった？

『お兄さんの代わりなら上等。お兄さんの“次”で満足するよーなブラコン娘、痛すぎて見たくなかったしねぇ。･･･今の梓、とことんイイ女だってヤナギさんも惚れ直すよ？あたしが保証する』

片目瞑って、親指立ててそうな秋生ちゃん流の励まし。

『とにかく寄り道しないでさっさと帰っといで？夜は鳴子で梓の誕生日祝いだからねー』

言うだけ言ってあっさり切れる。･･･切られる。しかもしっかり伊沢さんを巻き込んでる。

片手ハンドルのハルトさんに後ろからスマホを手渡しながら、恐る恐る窺えば。

「藤代のお嬢に聞きましてね。店は貸し切りにしますんで」

渋めの横顔に不敵な笑みが滲んでた。