夜の街が似合うクールなイケメン・・・ってだけじゃない彼は。自分から口にこそしないけど、組の跡目だって秋生ちゃんから何となく聞いてた。

「そう、・・・よね」

隆二なら、運命の女神をたらし込んでるわ、きっと。
小さく鼻をすすり上げながら、あたしは強がって見せた。

「もし誕プレ忘れて帰って来ても、しょうがないから赦してあげる」

「アズサが赦しても、秋生がぶっ飛ばしそーだけどな」

クスリと返ったハルトさんの零し笑い。

「お前のスマホは通じないわ、ヤナギさんは出てくれねーわ。イザワさんの名前思い出さなかったら、千倉のオニーサン拉致ってたんじゃね?」

ブリザード背負って仁王立ちしてる秋生ちゃんが、今にも目の前に現れそう。頭の隅にネットニュースの見出しが躍った。『櫻秀会内で抗争勃発か?!千倉組若頭、誘拐さる』

「先に電話してやってよ、アズサんちに乗り込む前にさ」