会いたい。
声が聴きたい。
笑ってる顔が見たい。
触って、キスして、
ハチミツの海に沈みたい。
誰もいない底の底で、
隆二を抱いて眠るの。
根なし草だって、ほら。
ちゃんと捕まえてるわ、あたしが。
隆二の居場所はここでいいでしょ?
ずっと。
ずっと・・・っ。

瞼の裏でぼんやり浮かぶ、隆二の背中に懸命に腕を伸ばす。

「・・・伊沢さん。隆二は帰ってきますよね?」

無事でいるのか明日も無事か。答えは運命の神様しか知らない。肯定も否定もしなかった伊沢さんの代わりに答えてくれたのは、ハルトさんだった。

「大人になったアズサに逢うまで死なずに済んだ(ひと)だろ。運だけじゃ生き抜けねーんだから、信じてやりな」