「・・・出来たら苦労はしません」
無粋に呟いて目を逸らした志田は、それ以上は言わなかった。
ホールの床に警護係の二人がノックダウンされてるのを、内心で手を合わせながら通り過ぎ。伊沢さんにビニール傘を差しかけられて、通りまで続くアプローチをゆっくり下ってく。
外は滴るような雨。空から落ちる雫、足許で跳ねる雫、濡れそぼって他に音がない中を、地面を踏みしめながら歩く。
あの時。薬で眠らされる前、ここがどこだろうと夜中だろうと、本気で歩いて帰るつもりだった。変わってない。隆二に伝えたい、今ある気持ちを全部。
やがて車道に出ると、左前方に赤いスポーツタイプの車が路肩に寄せて停車してるのが目に入った。もしかしなくても形くらい憶えてる。ナンバーの数字も合ってる。
近付くにつれ逸る気持ちを抑えてたけど、運転席から下りてきた立ち姿に思わず、伊沢さんの傘から飛び出してた。
「ハルトさん・・・!」
「待たせてゴメンな、アズサ」
無粋に呟いて目を逸らした志田は、それ以上は言わなかった。
ホールの床に警護係の二人がノックダウンされてるのを、内心で手を合わせながら通り過ぎ。伊沢さんにビニール傘を差しかけられて、通りまで続くアプローチをゆっくり下ってく。
外は滴るような雨。空から落ちる雫、足許で跳ねる雫、濡れそぼって他に音がない中を、地面を踏みしめながら歩く。
あの時。薬で眠らされる前、ここがどこだろうと夜中だろうと、本気で歩いて帰るつもりだった。変わってない。隆二に伝えたい、今ある気持ちを全部。
やがて車道に出ると、左前方に赤いスポーツタイプの車が路肩に寄せて停車してるのが目に入った。もしかしなくても形くらい憶えてる。ナンバーの数字も合ってる。
近付くにつれ逸る気持ちを抑えてたけど、運転席から下りてきた立ち姿に思わず、伊沢さんの傘から飛び出してた。
「ハルトさん・・・!」
「待たせてゴメンな、アズサ」



