軟禁ライフ三日目。朝から本降りの雨。好きな男と一緒に迎えるはずの、正真正銘あたしの24回目の誕生日。

目が醒めて、隣りに隆二の温もりがないのを噛みしめると少しだけ泣きたくなった。

何でも引き換えにするから帰りたい、会いたい。会って、言えなかったことも全部伝えたい。きっと隆二は待ってる、あたしが自分の意思で選んで帰るのを。

焦れる気持ちと心細さと、諦めそうになる弱気を振り払い、志田の前では意地っ張りお嬢。あれから一度も話してないお兄のことは考えないようにしてた。何をどう赦して、赦されればいいか分からなくて。

お昼は気分転換も兼ね、初めて料理をふるまった。大根おろしとベーコンの和風パスタ、それと残りもの野菜入り中華スープ。

警護の二人は恐縮しながら平らげてくれ、最後に強面が緩んで見えた。料理もあたしより手慣れてる志田は、無表情で『美味いですよ』と一言だけ。ものの数分で完食した。

「若もお嬢の手料理を喜ぶと思いますが」

フライパンや大きい洗い物をするあたしの横で、食洗機に食器を片付けてく志田が唐突に。

「・・・顔向けできないと、(こた)えてるようなんで」