別の窓からは鬱蒼と繁る緑の景色だけ。戻ってベッドの縁にお尻を沈め、チェストの上に置かれたクラッチバッグを手に取った。

中身を探ったらスマホだけ見当たらない。これで誰とも連絡が取れない、どこなのかも検索不可能。

「普通はそうなるわよね・・・」

溜め息を漏らし、あきらめて今度はクローゼットの前に立つ。監視付き軟禁くらいは予想してたし。自分に言い聞かせるように。

誰が脱がせたとか突っ込まないけど、起きたら下着姿で。扉を開くと、ビニールに入ったままの新品の着替えがぎっしり。自由を奪う代償だったとしても、妹思いの優しさにしか見えないあたしは。やっぱり不治の病かも、秋生ちゃん。

入り口手前のアーチ型ドアも気になり、ゆっくり押し開く。

「・・・やだー可愛い!」

思わず破顔。

そこには、猫足のバスタブにカラフルなタイル仕様の洗面台、おトイレもアメニティも完備されてた。どうせなら遊びで連れてきて欲しかったわ。切りがない嘆息の嵐。