置イテ行カレタ。
浚ってくれなかった。
あたしが躊躇ったから・・・!
お兄の妹をすぐに捨てられなかったからっっ。

待ってお願い。部屋を飛び出す。聞いて隆二、あたしはっ。お兄が上げた声も耳に入らなかった。ただ衝動に突き動されてた。

「お嬢・・・!」

廊下に控えてた志田に構わず、玄関に向かおうとして手首を強く捕らえられる。勢いのまま前につんのめりそうになったのを引っ張られ、止められた。

「どこに行くんです」

人の気を逆撫でする冷静さに、苛立ちごと叩きつけ、抗うあたし。

「離してよっ、隆二を追いかけるの!!」

「もう間に合いませんよ」

「いいから離しなさいッッ。志田に止める権利なんかないでしょ?!」

目の前の男を睨み据え、吠えた。