志田の言ったとおりなら。お兄は、あたしを実家(カゴ)に閉じ込めて羽根を折るつもりなんだろう。痛みと癒やしを与えて、違う色の羽根に付け替える。それがきっとお兄の愛情。

ねぇお兄。ずっとお兄色だった羽根は、隆二に出逢って生え替わったの。この羽根を背に生きたいの。だから帰るわ、鍵を壊して。あたしを守る優しい檻から。

フォークに落ちてた視線を上向かせると、眉を下げた隆二がやんわり笑った。

「タツオほど“待て”は得意じゃないんだけどね」

「志田に出来るなら、隆二だって大丈夫でしょ?」

わざと生意気ぶり、パスタを巻き付けたフォークごとパクリ。

「言われちゃったなぁ」

クスリ笑いで。ぼさついた髪した男の口の中にフレンチトーストが消えてった。