「・・・知ってたの?誕生日」

「そりゃねぇ」

ゼンマイ仕掛けの人形みたいな動きで、ぎこちなく横を向く。

7月11日は明々後日。あたしの休みに合わせて前倒しな誕生会を、“家族と食事”とだけ伝えてあった。自己申告するのもあざといし言いそびれたの。心の中が言い訳じみてる。

隆二はフレンチトーストの二切れ目にフォークを突き立てながら、半分こっちを見た。

「オレには欲しいモノ強請ってくれないの?なんでも叶えるのに」

淡い笑み。寂しげな眼差しに突かれた胸。

「帰ってきたら死ぬほど強請るからっ」

衝動的に口から飛び出してた。

「それまで待っててくれない・・・?」