「で、そのままヤナギさんの部屋に住んじゃってるって、そーいうこと?」

秋生ちゃんがニマニマしながらあたしを冷やかした。

「やる時はやる()だとは思ってたけどねー。お兄さんがよく黙って許したなーと思って」

「アズサの人生なんだから後悔しねーのが一番だろ」

ハルトさんと秋生ちゃんの間に挟まれて横並びに座り、祝福なのかも怪しい洗礼を受けてるあたし。

「そのうち絶対にお兄さんから刺客が送られてくるんだろうねぇ」

「今どき抗争くらいじゃ、一面トップも飾れねーけどな」

「オレの心配?優しいなぁアリスちゃん」

カマーベストに白シャツ、バーテンの格好した隆二がカウンターの向こうからクスクス笑い返す。

・・・この人達なにをそんな楽しそうに、物騒な話してるの。海より深い溜息がダダ漏れる。

秋生ちゃんに電話で大まかな近況報告したら、giraffeで4人の初顔合わせが叶ってしまって。

『じゃあ挨拶に行くから!』

どうしてか秋生ちゃんが言うと“お礼参り”に聞こえてしょうがない。兎にも角にも。隆二はあたし達の為に、ひと晩お店を貸し切りにしてくれたというわけだった。