慌てて目尻を拭えば、濡れた頬が隆二の掌にやんわり包まれ。温もりに甘えるように自分からすり寄せた。

「大人げないタツオに泣かされた分、たっぷり慰めてやらないとねぇ。オレの気が済むまで帰さないから淳人にヨロシク」

一方的に言うだけ言って、通話の切れたスマホをあたしの目の前にぶら下げた隆二。受け取って斜めに仰いだら、悪い顔した男が強かに笑んだ。

「梓の泣き顔が一番そそるなぁ。もっとわんわん泣かせて滅茶苦茶に可愛がって、腹いっぱい食べるのがいい」

なによそれ。呆れ半分で涙も引っ込み、眉を顰めて見せると、いきなり軽々とお姫様抱きされる。

「じゃあ朝風呂ついでに一回しよっか?」

「えッ、待っ、・・・これから?!」

「ちょっとだけだよ」

「ちょっとだけって、ねぇ絶対ウソでしょ~~ッ」

間近で笑ってる狼男の目が艶めかしい。