たとえ本物の死神だったとしたって後悔がないの。きっと最後も甘い毒で殺してくれる、息の根が止まるまでキスを落として。

『次元の違う話をこれ以上してもしょうがないでしょう』

うんざりして聴こえた。

込み上げたのが怒りだったのか絶望だったのか、自分でも分からなかった。溢れた涙に口許をおさえ、嗚咽を堪える。

あれこれ言っても志田なら少しは味方になってくれる。どっかで都合よく考えてたのかもしれない。隆二を倉科に呼んだのも、あたしの為だったんじゃないかって、そんな気さえしてた。

勝手に自惚れて裏切られたのに泣くなんてバカみたい・・・!

『・・・お嬢。柳は』

「オレの赤ずきんちゃん苛めた命知らずは、お前?」

ふいに耳許から抜き取られたスマホ。背なからあたしを抱き寄せた力強い腕。歌うように聴こえた。

「ふざけた真似すると蹴っ飛ばして殺すよ」