水に運ばれるように変わってく。自分も、見てる景色(セカイ)の角度も。

舵を切って流れるか。
ただ流されるのか。
溺れて沈むのも、
岸にたどり着くかも。
決めるのは運命じゃない。
お兄の手を離したあたしの覚悟次第。

「じゃあ行こっか」

頭の天辺にキスが落ち、肩に腕が回る。

「・・・どうして梓なんです」

「神サマの意地悪だろ?」

低く凄んだお兄を柳さんは軽くいなした。

「もし梓に傷一つでも残したら、・・・死ぬまで容赦(ゆる)しませんよ」

「いいなそれ。オレのものみたいで」

クスリと零し。あたしごと踵を返すと、後ろに立ってた志田の脇を通り過ぎながら思い出したように付け加える。

「呼んでくれた礼は今度(また)な、タツオ」

え?