「赤ずきんちゃんを攫いに来た狼だよ」
吸いさしを足許に放り、行儀悪く革靴の底で火を揉み消した彼が艶めかしく口角を上げ、言った。
「呼んだろ?オレを」
黒いシャツのボタンを二つ目まで外し、遊びのついでに寄ったみたいな緩い格好。お兄とは対照的。余裕な笑みも。
無意識に服の上から胸元を手探ってた。輪っかの感触ごと握りしめ、泣きそうになるのを懸命に堪えた。
攫いに・・・って。簡単に言わないで、魔法なんか使えないくせに・・・!
「・・・何かの勘違いでしょう柳さん。梓はもう会わないと俺に誓いましたよ」
強く肩を抱く指からも、凄みを滲ませた低い声からも伝わってくる。全テ梓ノ為ダ。
「本心じゃないって分かってるクセに酷いお兄ちゃんだねぇ」
やれやれと言わんばかりの溜息に、俯かせた視線が釣られて目がぶつかった。
「オマエはどうしたいの?今なら叶えるよ、オレがなんでも。・・・信じる?」
吸いさしを足許に放り、行儀悪く革靴の底で火を揉み消した彼が艶めかしく口角を上げ、言った。
「呼んだろ?オレを」
黒いシャツのボタンを二つ目まで外し、遊びのついでに寄ったみたいな緩い格好。お兄とは対照的。余裕な笑みも。
無意識に服の上から胸元を手探ってた。輪っかの感触ごと握りしめ、泣きそうになるのを懸命に堪えた。
攫いに・・・って。簡単に言わないで、魔法なんか使えないくせに・・・!
「・・・何かの勘違いでしょう柳さん。梓はもう会わないと俺に誓いましたよ」
強く肩を抱く指からも、凄みを滲ませた低い声からも伝わってくる。全テ梓ノ為ダ。
「本心じゃないって分かってるクセに酷いお兄ちゃんだねぇ」
やれやれと言わんばかりの溜息に、俯かせた視線が釣られて目がぶつかった。
「オマエはどうしたいの?今なら叶えるよ、オレがなんでも。・・・信じる?」



