専用の帰り口で恭しく女将に見送られ、肩を抱かれながらお兄と駐車場までの小道を歩く。

「あずの誕生日は、親父達とは別に、俺と杏花でも祝ってやるからな。楽しみにしてろよ?」

「・・・うん、ありがと」

「今の仕事が片付けばゆっくり時間も取れる。次は肉でも食いに行くか」

「うん・・・、そうだね」

乾いてない傷口にガーゼをあてがわれたみたいな。お兄なりの慰めに顔は向けず、声だけ取り繕った。

頭と躰と言葉が、てんでバラバラにあたしを動かしてた。歩きたくないのに勝手に脚が前に出て。何も答えたくないのに聞き分けのいい妹を演じて。

心は。・・・萎んでグニャグニャで。悲しいって感情すら沸いてこない。“お兄が正しい”。機械で上から打ち込んでる気がした。操られた指先で。